2026年7月29日(水)
県民の目を引くスタジアム建設と熊対策問題
もちろん、時代は急速に進展しており、現在の県や秋田市など現体制の方々の考えもあり、私の考察が絶対的に正しいとは言い切れませんし、全てが当てはまるとは限りません。
しかし、20年前の秋田市長時代から長年関わり、その後スタジアム問題も加わった外旭川開発構想の内情を知るものとし、また熊対策については幼少期から身近に、いわゆる里山に接し、野生動物と森林の状態を直接目にしてきた者として、「当たらずとも遠からず」ではないかと思います。
1.スタジアム建設問題
(1)問題の起点は外旭川開発構想にスタジアム建設を入れたことに始まる
イオンタウンの外旭川開発構想は、20数年前の私が秋田市長当時以前からあったが、当該地域は優良農地で市街化調整区域のため、農業振興施設と、その地域でなければ出来ない公営施設は例外として、民間施設の設置は事実上無理であった。
その後、平成29年に地域未来投資促進法が制定され、一定の要件、例えば地域経済の振興に資する高付加価値産業や研究施設などの立地が中心であれば、都道府県の同意の下に可能になった。
しかし、交通の要衝などに位置しインバウンドなどを対象とした高付加価値な観光施設などを除き、スーパーマーケットなどの一般的な商業施設の集客施設は除かれている。
一部、他県にスーパーマーケットの商業施設が立地している例もあるが、この場合は先端的な産業事業所が多数立地し、多くの従業員の飲食や買い物の利便性のため、あくまで補完施設として立地しているものである。
その後、イオンタウンは地域未来促進法を活用しなくとも整備可能な公営施設である秋田市営卸売市場を農地側に移し、規制がなく大半の民間施設の立地可能な卸売市場跡地に商業施設等を整備する構想を秋田市に提示したが、卸売市場側が難色を示し、一旦この構想を引っ込めた。
その上で今度は、卸売市場は現地に残し、農地側にサッカースタジアムを含む商業施設や娯楽施設、福祉施設等を含む構想を、地域未来促進法を活用して整備する構想を秋田市に提示した。
しかし、地域未来促進法に規定する高付加価値産業など、ダイレクトに法に規定する対象産業の立地がほぼ皆無なため、県は同意しなかった。
この中で、ピッチの出し入れ可能な全天候型のサッカースタジアムが含まれていたが、そもそも、このスタジアムの建設自体かなり杜撰なプランであった。
まず、当該地域の農地は全体的に軟弱地盤で秋田市の最高度液状化区域になっており、重量建設物の建設には40mから50m下の岩盤まで基礎杭を多数打たなければ出来ない地域で、ましてや100m近くピッチ移動を行うレールを上下誤差数センチmに抑えることには無理があることは、少しばかり地質学や一般工学知識があれば解ることであるが、これを指摘する人は皆無に近かった。
ましてや、秋田市の当該構想の検討審議会では、多くの経費を要し、それでも全体地盤の安定には不安要因が残る、長い基礎杭を打てば事足りるだろうという意見が出るなど、所詮素人集団の集まりと言っても過言ではないと感じた。
また、スタジアム建設費も当時ではあるが、確か150億円程度と記憶しており、到底その金額では出来ないことは建築に僅かの知識があれば解ることであり、誰もこの点を指摘する人がいなかったのは、おかしい事でも役所の事には口を出さないという本県人の体質を表しているとも感じられた。
そのような中でイオンタウンの構想は大半の施設は誰が整備主体になるのか明確でなく、チームのブラウブリッツ秋田はイオンタウンが整備主体になるものと誤解して捉えた節がある。
しかし、その後ブラウブリッツ秋田は、イオンタウン側からイオンタウンとしては土地を用地整備費を含む多額な額で分譲するだけで、整備主体は別とされた。
そもそも、この勘違いからブラウブリッツ秋田は自ら整備主体になるという発想が薄らいだものと推察される。
それ以降、紆余曲折があったが、一応秋田県と秋田市、ブラウブリッツ秋田の3者協定がなされ、整備の方向性が明確になったが、私の思う疑問点等を述べてみたい。
(2)構想内容
①整備主体 秋田県と秋田市の公設施設としての共同事業
②収容人数 5千人から1万人の間
③事業費 総事業費 142億円以内(設計費、調査費等含む)
・国の交付金 約57億円
・地元負担分(国の交付金を除く残額)
民間資金 50%
秋田県 25%
秋田市 25%
④事業期間 2026年度内 基本計画策定
2027~2028年度 基本設計・実施設計
2028~2031年度 建設工事・開業準備
(3)疑問点
① 2027年から2年間で基本設計・実施設計及び2028年内に建設工事を開始する場合、物理的には最初に現地測量・地質調査から開始する必要があり、2027年度当初から着手する必要がある。
民間資金の調達は、ふるさと納税の活用も含めているが、調査費・設計費等に要する5億円の調達の確認が前提になってることから、少なくとも2027年2月議会に補正予算で措置するにしても、2027年1月末までは5億円調達を確認しなければならない。
これが、果たされたとしても、次に着工年度の2028年度末前まで、残り40億円近くを調達する必要があり、果たして可能か否か疑問視する県民が大半である。
② 上記の点を踏まえて事業期間計画から見通すと、2年間という短期間に40億円近い金額をふるさと納税で集まった事例はないのではないか。
集まれば幸いであるが、もし集まらなかった場合に2031年度完成をめざし事前着工するか否かの問題が生ずる。
秋田市側は、あくまで民間負担分の相当額を集まったことを確認しなければ、見切り発車はしないとのニュアンスであるが、秋田県側からは明確な方針が出されていないように記憶している。
仮に見切り発車した場合には、不足分を全て秋田県側が負担する必要があり、一旦ふるさと納税を活用してしまえば、中止だから還付するということは税法上の想定外であり、あくまで整備を進める必要がある。
③ ふるさと納税を民間分として扱うことへの危惧
他県の事例でも個人版、企業版のふるさと納税を活用した事例はあるが、これらは民設民営の整備主体に対する自治体助成分として充当したものであり、民間側が各種の寄付や融資により相当額を準備し、全体整備費の一部に自治体へのふるさと納税分を助成したものである。
この点、秋田市側がブラウブリッツ秋田が各種寄付などで多くを集め、これを主体として、ふるさと納税分は、あくまで従として考えるべきという方針を出しており、極めて妥当な考えである。
しかし、ブラウブリッツ秋田が真剣に民間企業やサポーターから寄付を受ける動きがなく、現時点で僅か千数百万円しか集めておらず、ふるさと納税に大半を委ねるように思える。
そもそも、ふるさと納税の主旨は自治体の公営施設の整備や各種公益事業に対する自治体負担分を補うのが本質で、民間負担分までふるさと納税を充てることは、違法とは言えないが、立法趣旨からかけ離れたもので、決して好ましい事ではないというのが通説であり、自治体といえども立法趣旨から外れた事を行うのは避けるべきと言っても過言ではない。
④ 国の交付金への危惧
国の財政制度審議会において、Jリーグスタジアムの自治体の建設に対し、公共性が乏しいとして苦言が出されており、ましてや財務省において、今後予定されている消費税の食料品部分の税率引き下げや、給付付き税額控除の財源確保のため、各種国庫補助・交付金の厳しい見直しをしており、当てにしている国の交付金のJリーグスタジアム建設への充当が大幅に見直される可能性が強い。
また、ミルハス始めこれまでの各種県事業でも、交付金が要望どおり交付されたことはなく、要望額の半分程度が一般的であり、国の交付金を当てにするのには相当リスクがある。
⑤ スタジアムの公共性への疑問
ブラウブリッツ秋田側は、スタジアムは様々に県民使用が可能であるように言っているが、ピッチは芝の養生期間や冬は利用出来ない事などを考慮すれば、ブラウブリッツ秋田の試合のない日に一部学生のサッカー試合などには活用出来るとは思うが、広く県民に開放される事は想定し難い。
また、防災機能や各種県民活用機能を付加するとすれば、スタンド下の空間を活用した室内施設を付加する必要があり、整備費は相当に膨らむことになる。
その点、バスケットボールのノーザンハピネッツのホームアリーナとなる県立体育館の建て替えは、県立体育館と県立スポーツ科学センターの合築であり、国の交付金に加え、二つの施設を一つにまとめるという行政改革にもなり、国の交付金の残額は多額の地方交付税措置のある総務省の行政改革債を活用出来る。
ミルハスも秋田県県民会館と秋田市文化会館の統合で、行政改革事業として県立体育館の建て替えと同様に交付金の他に総務省の財政措置があった。
またノーザンハピネッツの試合は会場準備も含め、年間50~60日程度であり、最高峰のプレミアムリーグへの昇進制度にはJリーグとは異なり降格制度はなく、残りの300日程度は、学生や県民の多くの室内スポーツの使用やコンサート等のイベント使用も年間通して可能であり、公共性が極めて高いものである。
(4)まとめ
以上、構想どおり順調に運べば良いが、スタジアム建設には課題が山積し、大方の県民の厳しい見方もあることから、秋田県・秋田市には慎重に事を進めて頂くことを望むものである。
2.熊対策問題
(1)全国的な市街地出没の捉え方
熊が絶滅したと言われる九州や僅かの頭数しか居ない四国を除き、東京都下を含め、全国的に数年前から市街地へ熊が出没しており、死者や大怪我を被った人が多数出ており、一地方だけの問題ではなく国家的な問題にもなっている。
死亡された方は、ただただお気の毒としか言いようがなく、また熊から襲われての怪我も、普通の怪我とは異なり顔面を狙われる場合が多く、よく「命に別状はない」と報道される怪我も、顔面損傷や失明を伴う場合が多く、感染症も加わり人生を左右される程の重い怪我が多く、医師達からは「軽々しく、命に別状はない」という表現は避けるべきとの声が多い。
① なぜ、近年市街地に熊が頻繁に出没するようになったのか
よく、ソーラー発電や山間部の開発により、熊の住処が狭められたという声を聞くが、確かに全国的にはそういう箇所もあるとは思うが、大半は、その逆で中山間部が過疎化し、また後ほどゾーニングの困難さの項で述べるが、文明の進化により、いわゆる里山に人が出入りする必要性が減り、人の居住地域と近い里山が逆に森林化することによる方が多いのではないかと考えられる。
また、気候変動や人の出入りが少なくなった森林地帯に猪や鹿などの野生動物も増え、熊との餌等の競合関係が増し、さらに戦後の植林事業で針葉樹林が増え、熊の餌になる木の実が植生する広葉樹林や雑木林が減ったことにも起因すると推察される。
一部の地域では、熊ではなく鹿やイノシシ、猿の市街地への出没が見られることも、上記の証左ではないかと思われる。
(2)頭数管理の基本的な課題
① まずは可能な限りの生息数の把握
熊を絶滅させる必要はないが、人身被害のみならず、農作物の被害など直接的な事に加え、外の散歩が出来ず健康問題や、子供の登下校に保護者等が付き添わなければならない、地域によっては観光客が減り、地域経済や住民の暮らしに直結する問題も派生している。
また、ある程度は人間側も不必要な柿の木などの伐採やゴミの管理などに注意を払う必要はあるが、熊の頻繁な出没地域で何もかにも人間側に負担や不便さを負わすのは筋違いで本末転倒ではないか。
如何に、野生動物とも共生すべきとは言っても、現地の実態を知らない人が何を言うかと怒りを覚える。
このような実態を受け、熊には県境もないことから、国もようやく重い腰を上げ、都道府県の境を越え広域的な熊の頭数把握や頭数管理に乗り出したことは一歩前進である。
② 頭数管理の在り方
まずは、ある程度精度のある頭数を把握しても、その頭数をどのように捉え、どのような対策を取るかというのが課題である。
自分は、過疎地域ばかりか首都圏や一部大都市部を除く地方においては人口減少が著しく、また、いわゆる里山の森林化により、適正頭数は面密度ではなく、人口比率とし、これにより年間を通じ様々な困難さは伴うが捕獲・駆除を行うべきと考える。
これも後の項で述べるが、市街地に出没する熊は、様々な手法により可能な限り捕獲・駆除すべきと考える。
一部の市町村では、人の居住地域に出没し捕獲した熊を、GPSタグを付けたり、様々な方法で、いわば人間の怖さを教え込み山に返す所もあるようだが、そもそもそのような市町村は面積が狭く、出没数も少なく、本県のように面積が広く人口密度が小さく県土の多くが森林地帯で毎日人の居住地域に多数の熊が出没する地域では、人的、財源的、要は物理的に不可能である。
しかも、最近では山に返した熊が一度人間社会の食べ物の味を占め、再び山を下りて人里に現れ、しかたなく捕獲・駆除する例も増えているようである。
また、実際に県や市町村に報告される出没件数は、実は極一部に過ぎないのが実態である。
農村部や中山間地では、熊を目撃してもいちいち面倒で、出没報告や出没地を県民に素早く知らせるクマダスも含め県や市町村に報告する事は希であり、実際の出没数は相当に多いはずである。
実際に、私の出身地の仙北市の農村部や中山間地の市民は面倒だからいちいち報告などしないという人が大半である。
(3)ゾーニングの困難さ
① 里山と奥山の区分は明確ではない
人里と熊の住む山林地帯、いわば奥山の間の里山に見通しをよくするため手を入れるゾーニングを行うという識者の意見や、自治体の方針を聞くが、基本的に森林地帯に直に接した地域に住んだことのない人の考えとしか言いようがない。
確かに人里と鬱蒼とした森林地帯の間に、一定の幅を持つ藪や背の低い灌木が茂った地域もあり、この地域を里山のように捉えている見方もあるが、現在では人の手が入らず、かなり鬱蒼として見通しが悪くなっているようである。
しかし、本来は里山と奥山との明確な区分はない。
特に本県のような山林地帯が多い所は、人家と鬱蒼とした山林地帯が直ぐ接している所が多い。
かつては、囲炉裏や薪ストーブの燃料として、また茅葺き屋根の材料として、人家に接する森林地帯の雑木を伐採したり、茅を刈り払いしたりすることにより、人家から100m近い森林の見通しが良くなっており、また炭焼き小屋もその地域に多数存在した。
さらに、冬も野ウサギやキジ・ヤマドリなどを狩猟するため多くの猟師が山に入ったものである。
要するに、森林地帯と人里の一定の間に、人が年中出入りしており、この地域を里山というのが本来の姿である。
② 現代に入り奥山と里山を区分するのは極めて困難である
現代では、暖房の燃料は灯油やガス、電気等が大半となり、薪ストーブもあるが、生木を乾燥させ薪ストーブの燃料にする事は少なく、ペレット等を燃料にするストーブが増えている。
また、屋根も茅葺き屋根は殆どなくなり、僅かに活用される炭も山の炭焼き小屋で行われている例は希である。
そもそも、里山を形成する必要要件はなくなり、またかつてのように山林と接する人の居住区は過疎化し、そのような地域の人口は激減している。
このような状況で、昔のように人の居城地域に近い森林地帯に手を入れ、いわゆる理想的な里山化をするとしても、そこに住んでいる人は極めて少なく、また高齢者が大半で、かつ機械化は無理で、仮に土木建設業者が行うとしても、この広い県土では莫大な財源と多くの作業員が必要なことから、時間的に相当を要し、実施した場所は数年で元に戻るばかりである。
(4)捕獲駆除に関する規制への疑問
結論から言えば、以上のような状況から一定の頭数管理を人口比を基本としながら、相当数を駆除するしかないのではないか。
少なくとも、人の居住地域に出没した熊は、人里の味を学習し人里が魅力ある地域と覚え込み、幾度となく出没することから、可能な限り捕獲・駆除するしかないと思われる。
しかし、人里では緊急銃猟もなかなか困難で、狩猟免許を持つ人の増加やガバメントハンターの採用、警察官の狩猟体制の確保なども行われているが、銃器規制や狩猟規制も厳しく、大半は縮小傾向にある猟友会に、いわばボランティア的に依存しているのが現状である。
また、麻酔銃の取り扱いも資格を持つ薬剤師が主体であるが、麻酔薬の調合は薬剤師に委ねるものの、射撃に関しては規制を緩める必要もあるのではと思われる。
狩猟期の山での狩猟も、そう多くの熊の狩猟は困難なことから、そもそも銃器や麻酔銃、はこ罠にだけに頼る今の捕獲・駆除体制では無理があることから、別の効率が良く安全性の高い手法を取るべきではないかと思われる。
しかし、我が国は全てに既成制度を変えることに腰が重く、ましてや動物愛護団体などからの批判や絶対的な安全性に敏感過ぎて、新しい発想を採用する意思が極めて薄いのが現状である。
少し話は飛躍するが、ウクライナとロシアの戦争で、ウクライナ軍は、AI活用でロシア兵を正確に見分け、銃器の付いたドローンで正確に射撃するまでのAI活用のドローン射撃装置を開発した。
確かに人間を標的にする銃器より熊打ち銃器は強力でなければならず、簡単にはいかないが、例えば麻酔銃を付けたAIドローンなどを活用する方法や、ドローンに強力な麻酔薬カプセルを仕込んだ熊の好物の餌を搭載し、熊の付近に落下させ、熊がその餌を食べたことを確認のうえ、リモートで麻酔薬カプセルを開口させるなど、様々な手法を早急に研究・実用化し、それを活用出来るように法律改正すべきではないか。
いずれ、東京都心にも熊が出没すると言われる今、動物愛護精神と人間の命や暮らしを天秤にかけ、絶滅までも行かなくとも、少なくとも人間が毎日犠牲者を出しながら熊に怯えて暮らすなどは、先進国としてあるべき姿ではないのではないか。
また、鹿やイノシシの頭数管理と必要であれば駆除も同時に行うべきであろう。
根本的解決策は一自治体の問題ではなく国の役割だが、地方の人口が激減するなか、「熊の惑星」になるのは、誰もが望まないことであろう。
特に熊が人里に出没する地方の国会議員には、現在の手法では絶対的に無理があることを理解され、法律改正も含め根本的解決策を国会の場で声を大きくして頂くことを望む。
(5)まとめ
熊の問題に限らず、産業経済や国民の生活水準の低下、人口減少など、我が国は多くの課題を抱えており、先進国中では最低の成長率で、失われた30年などとも言われる。
自分はその最大の要因は、既成概念に閉じこもり、既成利権をこじ開ける勇気を失い、何事も波風立てず穏やかにという、前に一歩踏み込む先取の精神を失い、新しい技術や発想でこの国、この地域を前に進めるという気質が大きく失われた結果と捉えている。
日本がこの後も発展して行くためには、例え批判があっても、とにかく一歩でも前に進むという強い意志と行動力を再生することにあると感じる。