佐竹のりひさのイラスト

2026年2月24日(火)

衆議院議員選挙結果~偽善的風潮を排しての本音での考察

 1.今回の選挙の基本的背景

 自民・公明連立政権から自民・維新連立政権に変わった高市政権の発足直後の解散による第51回総選挙では、自維連立政権が大勝し、衆議院だけで立憲・公明が合体した、にわかづくりの新党中道改革連合が希に見る大惨敗を喫した。

 一方で、昨年の参議院議員選挙で登場した、最新の情報ツールや新技術を社会インフラの基底に位置付け、若年層政策に重点を置いたテクノ集団でもある新スタイルの「チームみらい」や、2022年に始めて国政へ登場したグローバル化は否定しないものの日本という祖国にしっかりとしたアイディンティを取り戻そうというナショナリズム重視の、いわば右派への共感を呼び込む「参政党」が昨年の参議院議員選挙に引き続き躍進した。
 同時に、いわゆる左派と位置付けられる共産党や社民党、さらには極端な政権批判を浴びせた「れいわ新撰組」などは大幅に議席を減らすか、壊滅的惨敗に至った。

 総括すれば、日本という国を国家として世界での存在感を高めるため、歴史的な経緯を含めながら、近代産業の振興と国防力の強化を中心に、強い国、新しい文明を開く国、グローバリズムの中で日本民族のアイディンティを取り戻そうという、保守的な方針を訴えた政党が勝利を収めたとも言える。


2.先進諸国の世界的な傾向とも符合

 今回の我が国の総選挙の結果は、近年アメリカや欧州を中心とした先進国において、グローバリズムの急速な進展により、移民者が増え民族バランスや、自国の経済バランスが崩れる状況や、ロシアや中国など専制独裁国家への反発から自国のアイディンティを取り戻そうとする右派指向になる国際環境のなかで、日本もそのような傾向になりつつあるという側面もあると推測される。


3.日本における外国人問題の本質

 我が国の外国人問題では、一部の地域でクルド人問題なども惹起されているが、日本人の多くは、中国に対する反発と脅威を感じていることにあるのではないか。

 そのひとつに、中国が国として覇権主義を拡大し、尖閣諸島など日本領域のみならず、東南アジアにおいても根拠なく自国領域を力で拡大していることにある。

 二つ目とし、多くの中国人は個々人としては善良なものの、インバウンドの観光客が民族としての習慣の違いがあるにせよ、かなり傍若無人な行為をしているように感じること、日本国内で犯罪統計とは別に中国人が粗暴あるいは詐欺的犯罪を起こしている点が目立つことに不安を抱いている国民が多いものと推察される。
 端的に言えば、同じ事を日本人が中国で起こせば厳しい罰則が科されたり、理由なくスパイ行為で拘束される等、日本では微罪あるいは都合悪くなれば自国に出国し易いなかで、不平等感を抱いているものと思われる。

 さらに、その中国系の資本や個人があちこちの不動産を買い取ったり、国内資源や国防上注意すべき不動産を簡単に買い取りすることが出来る状況に対し国として弱腰ではないかと見ている国民が多いと思われる。

 このような点に、高市政権がこれまでの政権よりも強く切り込もうとするする姿勢に、いわゆる保守層ばかりか一般国民の意識を引き寄せたものとも解釈される。


4.歴史的・民族的特性を超えたグローバリズム・過度なハラスメント対応 への息苦しさ

 もうひとつ、マスコミや公人、有識者は、口に出せば非難を浴びることから口にしないが、包摂性、多様性などへの急速な指向により、これまで当たり前に口にしたごく自然な言葉も、これらの包摂性・多様性へ否定ということで非難されかねない、窮屈な世の中になったことへの一般大衆の意識下の反発も、一種の右傾化へ傾斜する要因ではないかとも推察される。

 もちろん、人間社会が差別や偏見、男女の性差による社会的差別などは排して行かなければならないことは言うまでもない。
 しかし、結婚式の祝辞で「新郎新婦が子宝に恵まれ親御さんに孫の顔を早く見せて欲しい」ということに対しても、「生む生まないのは自由、ハラスメントではないか?」と言われるまでになると、大半の人は包摂性、多様性の考え方も極端過ぎるのではないかという感じるのではないか。

 また、部下に少し大きな声を出して指示や注意をするだけで、パワハラと言われる世相に、本心ではうんざりしているのが多くの人の本心に思える。
 とにかく、「もの言えば唇寒し」、極めて息苦しい世の中になったことの反動として、次第に保守的、右傾的な心情に変化してきたように思える。
 これらは、世界の先進諸国に共通したことにもなっている感じもする。

 要約すれば、世界の流れは受け止めなければならないが、国家・民族により、それぞれ固有の文化・風習・社会基盤があり、これらは長い歴史的な積み重ねの中で形作られて来たもので、グローバリズムの進展の中でも、すべてをグローバリズムの流れに従うものではなく、その国の歴史的流れの一定部分は残してもいいのではというのが、右傾化という形で現れ始めて来たように思える。
 イスラムの教義かどうかは分からないが、現実として一部イスラム諸国の男女間の差別に対して、なぜ先進諸国は物言わずに国交している状況はどうなのかということにもなる。


5.身近な感論的背景・・・見た目とイメージが勝負どころにも

 今ひとつは、前項のような大きな視点とは別に、政権発足直後のいきなりの解散、自民党のいわゆる裏金事件に関与した議員の積極擁立、国防費の大幅増大、アメリカへの忖度など、野党側からの大きな批判を受けながらも自維政権が大勝し、特に自民党が飛躍的大勝した要因を、身近な視点からの本音で考察してみたい。

 差別になるとして、マスコミや公人が本音は分からないが表立っては口にしないもの、多くの国民が意識下も含め感じているのでないかという前提での、あくまで私の視点であり、偏見もあるとは思うが少し述べてみたい。

 映像文化やYouTubeなどSNSになじみ、いわゆるかっこいい人が多い海外の主要政治家像を見慣れ、また今の日本の産業経済状況の不安を感じている、特に若年・中年層という現役世代から見れば、特に立憲の野田、公明の斉藤という中道の2人の共同代表が、新しい党を作ったのにしては、「昔の名前で出ています」状況で、かつ批判中心、活気がなく、古くさくて「ダサい」、それに比べ高市総理は日本初の女性総理で時には笑顔を交えながら前向きの力強い言葉で語り、また吉村維新代表は若くかっこいい、どちらに魅力を感じるかは言わずもがなとも言えるのではないか。

 ルッキズムを差別というが、映像文化時代でルックスやイメージ、いわゆる見た目や本人の特性も重要な要素となることは否定出来ない。 別に美人だとか、男前という話ではなく、かつての社会党の代表の佐々木更三は、かなりの左派で穏健派の江田派と抗争を起こした人物であるが、宮城県出身の田舎顔でズーズー弁、しかし近付き易い人柄、愛嬌満点で人気があったし、大平元総理は口数少なく、言葉も明瞭ではなかったが、正直そうな飄々とした風貌で憎めない愛嬌があった。

 その点では、中道改革連合の結党時に、もっと若く風貌も良いフレッシュ感のあるトップで、政権批判も一定程度必要だが、政党としてしっかりとした現実的政策を明るく力強く訴えていれば、惨敗までには行かなかった気もする。


6.選挙戦での勝負の打ち方

 今回の選挙で、高市総理は、次の総理を、私か野田さんか斉藤さんかを選ぶ選挙と言って、野党からは政権選択選挙で個人の人気投票ではないという批判を受けたが、この批判は論理的ではなかった。
 論理的に言えば、勝った方のトップが総理になるのが一般的で、最終的にはまさに政権選択とは総理を選ぶ選挙に他ならない。
 この点について、自らのアピール度に自信がないことを示したことにもなり、野党サイドの批判は逆効果であった気もする。

 次に、国防やエネルギーという国家の基本政策の違う政党が、しっかりとした論理展開なしに瞬間的に一緒になった点に、国民は理念を簡単に捨てた票欲しの野合と受け取り、いわゆる政党に対する信頼感が揺らいだものと思われる。
 むしろ立憲独自に戦えば、これほどの大敗は喫さなかったのではないか。
 一方で公明党は小選挙区では自民党と組まなければ勝てず、比例区優先で当選者を増やすという皮肉な結果となった。

 結果論かもしれないが、立憲は堅い票の創価学会員の票欲しさ、自民と離れた公明は単独では小選挙区での戦いは困難で、立憲と組むことにより比例区票を期待しての比例優先側に回り、相乗効果を出そうとしたが、結果は全く違ったものとなった。
 やはり、労組をバックとするいわゆるリベラル政党は宗教とは距離を置くもので、やはり水と油は混じり合うことは出来なかったとも言える。

 さらに、学会員はなんとなく納得感がないものの、それなりに運動したが、やはり身内の公明出身候補者の比例区に力が入り、立憲出身候補者に対しての熱量は低かったものと推察される。
 いわゆる学会員からの友人・知人への働きかけ、フレンド票の確保も、私自身も自公連立の時は、創価学会員の友人が自宅に来るなどかなり熱心に働きかけを受けたが、今回は電話一本だけだった。

 さらに、連合も組合幹部は一応候補者とともに演説会などに参加したが、本気度は感じられず、一般組合員は宗教関係とは縁が薄く、何となくしらけたムードで、ほとんど動く気配は見られなかった。
 自分自身、知事選で連合の強い支援を受けた経験から実感した次第である。

 また新宗連、立正佼成会などが中心となる約70の宗教法人からなる「新日本宗教団体連合会」というものがあるが、どちらかと言えば、世界平和を希求することを目的としながら、創価学会とは一定の対立構造にあり、中には公明党が自民党と連立したことにより立憲側に傾斜していた宗教団体の票が、立憲と公明が合体したことにより、逆に自民に転向したことも無視できないのではないかと感じる。


7.今後の状況

 世界の動向を見ても、先進諸国がナショナリズムに偏る傾向があり、また国民自身も右傾化する傾向は続くと思われ、教条主義的な左派勢力は衰退傾向を続けると思うが、過度な右傾化傾向も望ましいものではなく、過度なナショナリズムに対するブレーキ役として、理想的には、いわゆる「強くかっこいい」現実的な政策を展開する一定のリベラル勢力が出現することが望ましいのではないか。

 いずれ、中道改革連合が地方組織や参議院では、立憲と公明のままで存続しており、これらが中道に結束するか、あるいは党内の軋轢が増し、元の鞘に収まるかは分からないが、現時点で国民の支持率が極めて低い状況のなかで、どのような方向になるかに目が離せないと思う。

 一方で、大勝は大敗の裏返しでもあり、自民党自身も浮かれた気分だと、大きなしっぺ返しを食らうことは確実である。
 民意に敏感に、大勝故に謙虚さを保ち、基本的にはポピュリズムに陥らず公約を実行しなければならないことは大切だが、公約に関してあれこれ言うのは、国会での政党間のやり取りとマスコミが中心で、国内外の社会経済環境が激変するなかでは、公約どおりに政策展開することが、結果として逆に改悪になり、必ずしも国民のためにならない場合もあることも留意しなければならない。
 公約を違えて別の政策へ転換する場合に、国民に対し理論的かつ分かり易く説明し尽くすことは当然である。
 また国防に関しても、日本周辺の国際環境を踏まえれば増強は必要であるが、あくまで冷静に外交力の強化と並行しながら同盟国との連帯のうえで過度に背伸びせず進めることが肝要ではないか。

 喫緊の課題では、食品の消費税2年間のゼロ税率、その次の給付付き税額控除という政策と、総体としての責任ある積極財政の推進があるが、過度な円安や国際的な国家財政の評価が下がれば、逆に国民の生活不安を来すことになり、高い支持も一瞬で落ちることは避けられない。
 個々人でも家庭でも、企業・団体でも懐具合が緩やかになり過ぎれば破綻する。

 高市政権には、国際金融・経済環境を適切に見極めながら、フレキシブルに政策展開を図りながら、国民が将来に希望を持てる強く豊かな国づくりに信念を持って取り組んで頂くことを期待したい。
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